#038 槇原敬之「Cicada」
槇原敬之「Cicada」
発売:1999/7/10
¥3,059 Sony Music Entertainment
発売した時期と同じくして
彼が覚せい剤保持で捕まったという経過があり
当時の世間的な評価は非常に微妙だったりもしたこのアルバム。
自分の身の回りの槇原ファンの中にも
「なんだかいままでとちょっと違うかも」と
引いていった人たちも何人かいた。
ある意味賛否両論かなり分かれていたような気がする。
これはあくまでも推測の世界だが
選曲やコンセプト的な部分で
制作側の意図とプロモーション側の意図との間で
非常に葛藤も多かったのではないだろうか、という片鱗が
このアルバムには特に感じられる。
そんな葛藤の中で作られたとして
アルバム全体のバランスやコンセプトに多少妥協感というか
ひずみを感じないでもないが
一曲一曲のクオリティは異様とも言えるほどに高い。
なので、全体としても非常に印象に残るアルバム。
そういう意味で、槇原敬之の全アルバム中でも
屈指の名盤であると思っている。
簡単にアルバムの概観と印象に残った曲を。
オープニングのインスト曲が「Cicada」のイメージを印象づける。
1曲目(とあえてこう書くが)の「pool」のイントロをモチーフにしたインスト曲。
デジタルなセミが真夏の都会の空を飛び回るような、そんなイメージ。
その流れのまま「pool」へ。
この流れの持っていきかたがとっても音楽的にステキ。
「pool」(T-2)
往年のA&Mのポップスを彷彿させる、ラテンフレイバーなアレンジ。
このアレンジがとっても好き。
歌詞の内容から察するに
おそらく「RAIN DANCE MUSIC」(from「君が笑うとき君の胸が痛まないように」)と
同じ主人公であると思われる。
「HAPPY DANCE(T-4)」
そういえば坂本龍一の「Asience」に似てるなあ、と。
これもアレンジがとてもいい。
ボゴーダーか何かを用いた声が左右のスピーカに降られていて
「Do you wanna dance with me?」「Absolutely not.」というやりとりが
詞のストーリーと上手くシンクロさせていて印象的。
「Star Ferry」(T-5)
胡弓の音が幻想的なアレンジ。
この曲でも台詞が用いられていて、なんと中国語。
スペースシャトルから交信してるようなイメージのサウンド。
ところでこの曲、香港に本当にある渡し船が詞のモチーフになっている。
香港に行ってこの船に乗ったとき
「SHINING STAR」と名付けられていた。
なるほど確かに「輝けと名付けられた船」なのねー。
「この傘をたためば」(T-8)
非常に内向きな曲。かなりお気に入り。
「雷が鳴る前に」という曲の続きになっている。
古くから彼の曲を聴いてきたリスナーにとっては
より切なさ倍増、みたいな。
「Name of love」(T-11)
元すかんちのローリー寺西こと寺西一雄に提供した曲のセルフカバー。
ちなみにローリーはマッキーの従兄弟であることは有名な話ですが。
このアルバムで最も好きな曲だ。
ソフトでアコースティックなミニバンド風なサウンド。
こころの痛みに好きなあの人の名前をつける、っていう発想がニクい。
ちなみに後から知ったんだけど
心理療法や自己啓発の手法に、これとまったく同じようなものがあるんだって。
へえ、なんか妙に納得。
「Cicada」(T-12)
タイトル曲。この曲を聴いて
セミに対する見方がちょっと変わった。
ああ、こういう見方があるのか、ってね。
聴きようによっては
この作品以降の彼の音楽スタイルを予期させるような
そんな予感に満ちた曲とも言える。
アルバムは、ラブソングも入っているものの
それは表面的なモチーフとして用いられている楽曲が多く
それまでちらりと見せてきていたような
深い自己洞察と自問自答に焦点がシフトしている。
それまでの槇原の代名詞とも言われた
定番ラブソング路線からの転換を図っている。
これまでを振り返り、今の自分を見つめ、新しい境地をめざそうと
葛藤する彼の姿が映し出されているなあと思う。
発売:1999/7/10
¥3,059 Sony Music Entertainment
発売した時期と同じくして
彼が覚せい剤保持で捕まったという経過があり
当時の世間的な評価は非常に微妙だったりもしたこのアルバム。
自分の身の回りの槇原ファンの中にも
「なんだかいままでとちょっと違うかも」と
引いていった人たちも何人かいた。
ある意味賛否両論かなり分かれていたような気がする。
これはあくまでも推測の世界だが
選曲やコンセプト的な部分で
制作側の意図とプロモーション側の意図との間で
非常に葛藤も多かったのではないだろうか、という片鱗が
このアルバムには特に感じられる。
そんな葛藤の中で作られたとして
アルバム全体のバランスやコンセプトに多少妥協感というか
ひずみを感じないでもないが
一曲一曲のクオリティは異様とも言えるほどに高い。
なので、全体としても非常に印象に残るアルバム。
そういう意味で、槇原敬之の全アルバム中でも
屈指の名盤であると思っている。
簡単にアルバムの概観と印象に残った曲を。
オープニングのインスト曲が「Cicada」のイメージを印象づける。
1曲目(とあえてこう書くが)の「pool」のイントロをモチーフにしたインスト曲。
デジタルなセミが真夏の都会の空を飛び回るような、そんなイメージ。
その流れのまま「pool」へ。
この流れの持っていきかたがとっても音楽的にステキ。
「pool」(T-2)
往年のA&Mのポップスを彷彿させる、ラテンフレイバーなアレンジ。
このアレンジがとっても好き。
歌詞の内容から察するに
おそらく「RAIN DANCE MUSIC」(from「君が笑うとき君の胸が痛まないように」)と
同じ主人公であると思われる。
「HAPPY DANCE(T-4)」
そういえば坂本龍一の「Asience」に似てるなあ、と。
これもアレンジがとてもいい。
ボゴーダーか何かを用いた声が左右のスピーカに降られていて
「Do you wanna dance with me?」「Absolutely not.」というやりとりが
詞のストーリーと上手くシンクロさせていて印象的。
「Star Ferry」(T-5)
胡弓の音が幻想的なアレンジ。
この曲でも台詞が用いられていて、なんと中国語。
スペースシャトルから交信してるようなイメージのサウンド。
ところでこの曲、香港に本当にある渡し船が詞のモチーフになっている。
香港に行ってこの船に乗ったとき
「SHINING STAR」と名付けられていた。
なるほど確かに「輝けと名付けられた船」なのねー。
「この傘をたためば」(T-8)
非常に内向きな曲。かなりお気に入り。
「雷が鳴る前に」という曲の続きになっている。
古くから彼の曲を聴いてきたリスナーにとっては
より切なさ倍増、みたいな。
「Name of love」(T-11)
元すかんちのローリー寺西こと寺西一雄に提供した曲のセルフカバー。
ちなみにローリーはマッキーの従兄弟であることは有名な話ですが。
このアルバムで最も好きな曲だ。
ソフトでアコースティックなミニバンド風なサウンド。
こころの痛みに好きなあの人の名前をつける、っていう発想がニクい。
ちなみに後から知ったんだけど
心理療法や自己啓発の手法に、これとまったく同じようなものがあるんだって。
へえ、なんか妙に納得。
「Cicada」(T-12)
タイトル曲。この曲を聴いて
セミに対する見方がちょっと変わった。
ああ、こういう見方があるのか、ってね。
聴きようによっては
この作品以降の彼の音楽スタイルを予期させるような
そんな予感に満ちた曲とも言える。
アルバムは、ラブソングも入っているものの
それは表面的なモチーフとして用いられている楽曲が多く
それまでちらりと見せてきていたような
深い自己洞察と自問自答に焦点がシフトしている。
それまでの槇原の代名詞とも言われた
定番ラブソング路線からの転換を図っている。
これまでを振り返り、今の自分を見つめ、新しい境地をめざそうと
葛藤する彼の姿が映し出されているなあと思う。
by satton07
| 2005-09-02 01:38
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どもー。
by satton07
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