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うちのキーボード

ウチには、PSR-500というヤマハのポータブルキーボードがある。
モノを大事にしない(!)自分にとって、
珍しく大事に扱っているもののひとつである。

高校に上がった時に、親に買ってもらったものだ。
十数年前に買ったもののだが、今の鍵盤に変える3年前まで、現役で使っていた。
5年前に鍵盤が壊れて音が鳴らなくなったことがあったのだが
それでも修理に出してなおして使っていた。


せっかくこんな話題を取り上げたので
はじめてキーボードを買った頃の話を書いてみようと思う。
実はPSR-500を買う前に、もう一台キーボードを持っていたのである。


中学生の頃、近所のねえちゃんが持っていたキーボードを触ったことがあり
それまでピアノしか触ったことのなかった自分は、激しく憧れた。
何か自分の知らん音がいっぱい出るし
和音押さえたら自動的に伴奏つくってくれるし
なんじゃこりゃー、という思いでいっぱいだった。
さっそく買いたいと思ったのだが
値段が5万円。中学生にしてはいささか高い買い物である。
そこで親に交渉することにした。
とりあえず拝み倒してみる。
しかし「あほか」の一言で一蹴。
次に試みたのは
「テストでいい点取るから。」
するとウチの親は
「そしたら3教科で100点取ったら、考えよう」というむちゃくちゃな条件を出してきた。
確かそんな条件だった。
モノで釣るとは、なかなかやらしい親である。いまさらだが。
しかし、当時の自分はこの言葉に激しく反応し
そしたら、と一念発起したのだが
結果英語と社会で100点を二つ出したにとどまったのであった。
数学が確かあと2問かそこらで100点だったような覚えが。
いや、今考えてみたらそれだけでもすごい、と思う。
が、当時の自分はかなり落ち込んだのであった。

結果は条件に届かなかったのだが
さすがに親も驚いたらしく
残りは次のテストで、ということで
なんと買ってもらえることになったのだ。
しかし、5万円のモデルは高すぎる、ということで
3万9千円のモデルに値切られることとなった。
YAMAHAのPSS-390。
ミニ鍵盤で、今見たらオモチャのような感じだが
音色もリズムも100づつあり、
オマケにデジタルシンセサイザーもついているお得なモデルだった。
買ってもらってからは勉強そっちのけで使い方を学んだ。
コードネームをおぼえて自動伴奏機能を使いこなし
そこら中の楽譜をあさってはコードネームをつけて
演奏するようになった。
即興演奏の、まさに「夜明け前」である。おおげさか。
キーボードでおぼえたコードネームで
ピアノを使って即興演奏やら弾き歌いもやり始めた。

既成の曲の演奏に飽きてきて
それなら自分で曲を作ってみた方がおもろいんとちがうか?と思い
曲を作り出したのもこの頃である。

ところが、このキーボードを使っていろいろやっているウチに
だんだんとこの機能だけでは物足りなくなってきた。
音も貧弱だし、録音機能もないし
せっかくキーボード使うなら
もっといろんなことをやってみたいと思うようになった。
さらに欲求が増すわけである。
ちょうど中3の頃。

時を同じくして
コルグが「M1」というシンセをリリースしたというニュースを知る。
漫才ちゃいますよ。シンセサイザー。
世界中で大ヒットした、伝説のシンセ。
今でも内蔵の音色がいろんな曲に使われている。
たしか「大事MANブラザーズバンド」の
キーボードのねーちゃんが使っていたのをみて、「あの音いいなー」と思ったのだ。
あのころ、いわゆる「オールインワンシンセ」がぼこぼこ出ていた。
オールインワンシンセとは、いわゆるシーケンサーが付いたモデルで
音をつくったり出したりするだけでなく、リズムやメロディを打ち込んで
その場でアンサンブルを再現できるタイプのシンセ。
オーケストラもバンドも自由自在にサウンドをつくれる!といった感じか。

当時TMとか小室好きの連中は、YAMAHAのEOSが欲しい!って絶叫してたし
ローランドもD-50(だったっけ、うろ覚え)というシンセを出していた。

ぼくもそんな話を聞き、「絶対欲しいなー」と思って
楽器屋さんでカタログをもらいに行って驚愕した。


20万円(税別)。



中学生の財布ではさすがに手が出せない。

その時行った楽器屋さんで
たまたまついでにとっていた
YAMAHAのポータブルキーボードの新モデルのカタログがあったので
それを見た。
6万9千円で、M1には劣るが結構いい音が出て
トラックも少ないがシーケンサーも付いているモデルをみつけた。
これだ!と、早速親に交渉した。
「高校の進学祝いもいらんから!」ともらえるかわからないようなお金もあてにしつつ
高校受験に合格したら、という約束で契約をとりつけた。

それからというもの・・・

受験勉強のあいまに
寝る前に
朝起きたときに
おやつを食べながら
そのカタログを飽きもせず見つづけた。
そして「これを買ったら、あの曲を演奏して、あの曲をアレンジして・・・」などと
妄想にふけっていた。
いや、ホンマの話である。


そんなこともあって、
高校に合格し、このキーボードを買いに行ったときのことは今でも鮮明に覚えている。
心斎橋の大丸へ買いに行き、父のクルマのトランクに積んで
ワクワクしながら家に持って帰ったことを思い出す。

それから、このキーボードでたくさんの音楽をつくった。
ピアノの曲集の譜面を使ってフルバンドやミニアンサンブル用にアレンジしたり
聴いたCDの耳コピをしたり
またあるときは日本国憲法の前文をおぼえるために
前文にメロディをつけてこのキーボードでユーロビートっぽく演奏させて
覚えようとしたこともあった。(が、曲ができた時点でテストの前日だった。アホ)
HPにもアップしている「springbreeze」という曲や
吹奏楽でやった「マンボメドレー」のアレンジもこのキーボードから生まれた。
限られた機能をいかに活かすか、ということをつねに考えて使っていた。
おかげでアレンジの要領やポイント、泣き所を、
楽しみながらたくさん吸収することができた。
これは今思えばすごく勉強になっていたんだと思う。


おとなになって、MACで音楽を作り始めてからは
入力用のキーボードとしてその役割を果たしていた。
そんなこのキーボードも、ウチに新しいエレピのP-200が来てからは
段ボールにしまわれて、実家の奥深くで
いつさめるかもわからない眠りにつくこととなったのであった。

そして昨日、ほこりにまみれながら実家の奥から
数年ぶりにその箱を開けた。
なぜか。
再び使うときが来たからである。
とあるバンドでキーボードのメンバーに助っ人で入ることになったのである。
P-200では移動手段が辛いので
手軽に持ち運べるこのキーボードが浮上したのである。
まさかもう使うことはないだろう、と思いながらしまったのだが
こんな形でまた使うことになるとは夢にも思わなかった。

ひさしぶりに音を鳴らしてみた。
あの頃のままである。
ある意味当たり前か、電子楽器やし。
いや、それでもけっこう感慨深くなったりしたのさ。
一時期は、いっそ誰かにあげようかなとさえ思ったのだが
それもなんだかなあ、と思ってずっと置いていたのだが
結果良かった、かも。


もう一度使うのかあ、とか考えながら
この先、このキーボードどうしようかなあ、と思い出したように考えていた。
ふと、万が一自分に子どもが生まれたら
このキーボードを引き継ぐことにしよう、となんとなく決めた。


万が一生まれてくるかもしれない子どもよ、よろこべ。
こんなにイイキーボードをアンタは小さな頃から使えるのだぞ。
うらやましいったらありゃしない。
by satton07 | 2004-09-30 02:07


どもー。


by satton07

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